生物多様性ー地球に息づく豊かな生態系を守ることは、環境活動の重要なテーマであり、当社グループは環境経営として取り組んできた活動を生物多様性の視点で整理した、独自のコベルコ生物多様性指針を策定し、事業活動や地域社会との連携を通じた生物多様性への貢献を推進します。
当社グループは、生物の多様性の保全が重要であることを認識し、ここに指針を定め、生物多様性の保全のための活動を推進する。
当社グループの生産事業所で事業を行うことが、周辺の生物多様性保全上重要な地点に影響を及ぼす可能性について、IBAT*を用いて評価を行いました。
結果、半径3km以内に自然保護地域(ラムサール条約で登録された湿地、世界自然遺産、IUCNが規定する自然保護地域カテゴリー1(原生自然区域)~3(天然記念物)のサイト)はありませんでした。さらに、当社グループの事業が直接生物多様性を毀損するような事例は確認できませんでした。
※ IBAT( Integrated Biodiversity Assessment Tool ) 自然保護に関する基礎データや最新情報にアクセスできるツール。
日本経済団体連合会及び経団連自然保護協議会は、「経団連生物多様性宣言・行動指針」を策定し、自然共生社会の構築を通じた持続可能な社会の実現を目指しています。当社も2019年12月にこの宣言に賛同しました。
気候変動に伴う生物多様性への影響を低減するため、2050年カーボンニュートラルを目指して製鉄プロセス、電力事業におけるCO2削減のロードマップを策定し、活動を推進しています。
水資源への依存を低減するため、生産工程における水の効率使用、水の循環利用等を徹底することで、水使用量の削減を進めており、水のリサイクル率95%以上を維持することを目標としています。
また、排水の汚濁負荷量については、排水リスクのある地域に立地する事業所を対象に、COD、総窒素、総りんに目標を設定しています。
限りある資源を有効に活用するために、生産工程・オフィスにおいて廃棄物の発生抑制に取り組むとともに、生産工程から発生する副産物等の付加価値の向上や新規利用用途の開発により、積極的にリサイクルを推進しています。
主な副産物であるスラグ、ダスト、スラッジの再資源化率を2025年度99%とする目標を設定しています。
原料の調達先における資源乱獲防止等生物多様性に配慮した生産活動について、お取引先の皆様へ当社グループの考え方等をご説明し、対応を求めています。
鉄鋼スラグは、これまでの実証試験により、その中に含まれる鉄分やミネラル等の栄養分によって海藻が繁茂する等、海洋環境の修復に効果があることが確認され、漁業者から評価を得ています。その結果、鉄鋼スラグ水和固化体が須磨地区潜堤築造工事の潜堤構築材として採用されました。今後も、鉄鋼スラグ製品の海域環境改善材としての利用実績を生かし、海域工事・港湾工事用資材として利用を進めていきます。
当社の地域交流施設「灘浜サイエンススクエア」(神戸市灘区)内に設けたビオトープでは、兵庫県レッドデータブック2020に登録されている貴重植物であるナガボノワレモコウ・ハバヤマボクチ・ユウスゲ等を生育しており、生物多様性の保全に努めるとともに、「特定非営利活動法人六甲山の自然を学ぼう会」や専門家と連携を図りながら、地域の子どもたちを対象とした生き物の観察会等を定期的に開催しています(2021年度の観察会等は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から中止しています)。
今後もビオトープを保全し、豊かな生態系の維持に貢献していきます。
環境・社会貢献活動として、生物多様性の保全と促進に資する森林整備活動や、子どもたちの自然への思いを育む「KOBELCO森の童話大賞」、「児童館出前エコ教室」への参画を行っています。
また、2011年から社員のボランティアによる「森林整備活動」を兵庫県内2ヵ所で行っています。
KOBELCOの森(三木市)では、兵庫県、公益社団法人兵庫県緑化推進協会が推進する「企業の森づくり」に参加し、豊かな森林づくりへの貢献のために、兵庫県立三木山森林公園で活動を実施しています。
一方、ECOWAYの森(神戸市灘区)では国土交通省が実施している「六甲山系グリーンベルト整備事業」に参画し、土砂災害の防止や、良好な都市環境、風致景観、生態系及び種の多様性の保全・育成等に取り組んでいます。この活動は「特定非営利活動法人六甲山の自然を学ぼう会」にご指導いただきながら、様々な高さの木や下草がバランス良く生え、いろいろな樹齢・樹種により構成された樹林を目指し、伐採や下草刈り、植樹等を実施し、生物多様性の保全と促進に資するよう活動を行っています。