株式会社神戸製鋼所 溶接事業部門は、新型アーク溶接ロボットARCMAN™A60(以下A60)と高性能プロセス搭載ハイエンド溶接機SENSARC™RA500(以下RA500)を搭載した鉄骨溶接ロボットシステム(以下A60鉄骨システム)の販売を2022年4月1日から開始しました。
A60および関連機器を活用したシステム設計、RA500の性能を最大限に活用したコラム高能率施工条件、および新たに開発した専用溶接ワイヤであるYGW18ソリッドワイヤFAMILIARC™MG-56R(A)の組み合わせにより、生産性向上・溶接品質向上を実現しています。
主な特長
- 1. ARCMAN™A60鉄骨システム
A60を搭載するにあたり、ノズルオートチェンジャを改良すると共に、ワイヤカッタ、エアクリーナ等の関連機器配置を変更し、ロボット動作を最適化することで、非溶接時間を短縮しました。また、A60の特長を活かし、これまでロボット背面に配置していたスラグ除去装置用のホース類をロボットS1軸部に内蔵することによって、該当するホース類の干渉がなくなりました。
- 2. RA500搭載NEW REGARC™プロセス
RA500では、当社独自の電流・電圧波形制御によるREGARC™プロセスを改良し、NEW REGARCとして更なる溶接品質向上・生産性向上を実現しています。
- 2-1.ロバスト性の向上と更なる低スパッタ化
REGARC™のピーク電流およびパルス周波数の制御方法を最適化し、開先内におけるウィービングなどの状況変化に強く、ロバスト性の高い安定した溶滴移行を維持し、さらなる低スパッタ化を実現しました。
- 2-2.REGARC™の溶接電流領域拡大
新たな出力波形制御により、溶滴移行周期の変動を抑制し、溶滴移行の規則性を向上させています。その結果、低スパッタ効果とともに、それを維持可能な溶接電流領域を拡大しました。平均電流は従来の320Aから340Aへ、溶融速度は約10%向上しました。これにより溶接の高能率化に寄与することが可能です。
- 3. NEW REGARC™専用YGW18ソリッドワイヤFAMILIARC™MG-56R(A)
コンタクトチップやインナーチューブへの堆積物が一般的なソリッドワイヤと比べて非常に少なく、優れた送給性を長時間維持することが可能で、溶接電流領域を拡大したNEW REGARC™の高能率施工を実現するワイヤです。
- 4. NEW REGARC™を用いたコラムの高能率条件
建築鉄骨溶接ロボット型式認証範囲内において高能率化した、コラムの溶接条件を開発しました。この高能率条件を用いることで、従来のREGARC™プロセスと同等の継手性能を担保しながら、コラムの溶接時間を短縮することが可能です。
新型ロボット・関連機器を活用したシステム設計により、溶接時間・非溶接時間をともに短縮し、従来機と比較し10%以上のサイクルタイム短縮効果が見込めます。
A60鉄骨システムでは、これまで紹介した新しい機能、および機器を搭載したことで、お客様の課題解決・生産性向上に貢献できると考えています。今後も、「世界で最も信頼される溶接ソリューション企業」として、お客様の課題解決につながる優れた製品およびサービスを創出し提供してまいります。
コラムと通しダイアフラム継手 溶接金属部のシャルビー衝撃試験および引張試験結果の一例
コラムと通しダイアフラム継手積層図および断面マクロ写真の一例
制御方法の最適化により、さらなる低スパッタ化を実現
ARCMAN鉄骨溶接ロボットシステムカタログ
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