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受賞履歴
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(一社)日本鉄鋼協会主催の2020年一般表彰における受賞について
2020年3月23日
株式会社神戸製鋼所
当社は、(一社)日本鉄鋼協会主催の2020年一般表彰において、下記4名が受賞致しましたのでお知らせ致します。
受賞名 | 受賞者 |
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服部賞 | 代表取締役副社長執行役員 柴田 耕一朗 |
渡辺義介記念賞 | 常務執行役員 中村 昭二 |
渡辺義介記念賞 | 技術開発本部 材料研究所研究首席 前田 恭志 |
西山記念賞 | 鉄鋼事業部門 技術開発センター製銑開発部長 野澤 健太郎 |
賞の概要
日本鉄鋼協会では、鉄鋼に関する学術・技術の振興および研究者の育成を目的として、顕著な業績を挙げた会員等を表彰しています。今回受賞した各賞の概要は下記の通りです。
服部賞 | 鉄鋼生産に関する学術上、技術上の進歩発達に顕著な貢献をした会員に贈られます。 |
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渡辺義介記念賞 | わが国鉄鋼業の進歩発展に多大の功績のあった会員に贈られます。 |
西山記念賞 | わが国鉄鋼業の進歩発達に卓越した功績のあった会員に贈られます。 |
受賞内容
1.「服部賞」代表取締役副社長執行役員 柴田 耕一朗
題目: 製銑技術の進歩と発展
長年にわたって製銑分野の技術向上に携わり、生産性・品質・コスト競争力の向上に多大な業績を残すとともに、卓越した企画力と指導力を発揮し、製鉄技術の進歩と発展に多大な貢献をした事を評価頂きました。主な業績は以下の通りです。
- (1)高微粉炭吹込み操業技術の確立
微粉炭燃焼制御技術や炉体熱負荷抑制技術の開発により、国内トップの高微粉炭吹込み操業を長期間安定継続すると共に、溶銑コストの低減に大いに貢献しました。 - (2)高炉補修技術の開発
長時間減尺休風による高炉鉄皮更新およびステーブ更新技術を確立することにより、高炉寿命の律速要因を解消すると共に、老朽化高炉の生産性向上に貢献しました。 - (3)高炉プロセスの長期安定操業技術への貢献
加古川製鉄所第2高炉の改修において、炉体形状を最適化し、世界トップレベルの低コークス比操業技術の確立に貢献しました。炉底への高熱伝導性カーボンレンガの採用、炉体冷却装置への銅ステーブの採用などにより、高炉の長寿命安定化に貢献しました。また、加古川製鉄所への上工程集約を推進し、効率的な製鉄プロセスの構築に貢献しました。
2.「渡辺義介記念賞」常務執行役員 中村 昭二
題目:薄板自動車用超高強度鋼板の生産技術の進歩と発展
長年にわたって薄板自動車用超高強度鋼板の生産技術の高度化、同鋼板の新製品開発に携わり、先見性を備えた優れた技術力を発揮し、薄板製品における最先端技術の発展に多大な功績を挙げた事を評価頂きました。主な業績は以下の通りです。
- (1)冷延・溶融めっき自動車用超高強度鋼板の生産技術の確立
自動車メーカーの車体軽量化、衝突安全性向上の要求に応える超高強度鋼板の開発に携わり、難製造である同鋼板の熱延原板の生産技術、冷間圧延における高精度圧延技術、連続焼鈍や溶融めっき設備における高度なヒートサイクル制御技術、めっき制御技術を開発し、極めて高い加工性を有する画期的な1180MPa級冷延・溶融めっき超高強度鋼板の商品化に大きく寄与しました。また世界最高レベルとなる1500MPa以上の冷延超高強度鋼板の商品化にも大いに貢献しました。 - (2)自動車用高生産性ホットスタンプ鋼板の生産技術の確立
近年、欧州に続いて日本でも採用が増えてきた1500MPa級ホットスタンプ鋼板の課題であったプレス生産性を飛躍的に向上させた同鋼板の商品化に携わり、製品設計から製造に至る一貫したプロセスの生産技術確立・発展に尽力し、前述の冷延・溶融めっき超高強度鋼板と併せて自動車の軽量化、衝突安全性向上に貢献しました。
3.「渡辺義介記念賞」技術開発本部 材料研究所研究首席 前田 恭志
題目:高品質板圧延材の製造技術の発展
長年にわたり鉄鋼板材の高品質化を実現する圧延技術の高度化、特に理論に立脚した圧延時の塑性変形モデリングと、実機適用に向けた制御モデルの開発に携わり、高品質板材の先駆的技術の発展に多大なる貢献を果たした事を評価頂きました。主な業績は以下の通りです。
- (1)圧延インライン創形創質技術の確立
強度・靭性のばらつきの低減と高い平坦度が要求される厚板鋼に対して、圧下・温度履歴に基づく材質予測モデルを開発し、このモデルをベースにしたオンライン材質制御システムを構築して実用化すると共に、長手方向の温度分布と入側板厚分布から出側板厚を制御するモデルを開発し、温度予測型FF-AGC※1として実用化しました。これらの功績は、造船向けなどの高品質厚板鋼の安定製造に大きく寄与しました。 - (2)多段圧延機の形状制御システムの確立
ステンレス等の高強度薄板材で要求される板厚精度と平坦度に対応するために、多段圧延機(12段、20段)の各種形状制御アクチュエータの影響係数を用いた多変数制御モデルを開発しました。このモデルを自動形状制御システムとして実用化し、電子機器のコンパクト化(薄板化)などに大きく貢献しました。
※1:FF-AGC
圧延を行う前に、圧延入側情報(材料強度、板厚)から圧延出側の板厚を推定し、事前にロール間隙を制御することにより、応答性の良い板厚制御を実現する制御方法。
4.「西山記念賞」鉄鋼事業部門 技術開発センター製銑開発部長 野澤 健太郎
題目:革新的高炉製銑法の研究開発
高炉レースウェイ(RW)プロセッシング※2という独自の視点を掲げ、独創的研究成果と実績を通じて、鉄鋼業が直面する原料劣質化問題、CO2問題、コークス炉老朽化問題を解決する革新的高炉製銑法の開発に向けて大きく貢献したことを評価頂きました。
- (1)粉鉱石飛翔還元機構の解明
良質鉱石枯渇化に伴い高炉羽口から粉鉱石を直接吹込使用する技術開発においてRWでは粉鉱石表面の生成鉄がマランゴニー効果で常に溶融ウスタイト球殻に包含され、還元材との近接効果で超高速還元が可能となる“飛翔還元機構”を明らかにしました。本技術はRW境界(鳥の巣)通気改善を目的に近年戦力化された酸化鉄含有スラグ吹込技術の母体であり、思考の独創性、将来性が国際的に極めて高い評価を頂きました。 - (2)RW空間形成挙動の解明と高微粉炭比操業を可能にする新型羽口の開発
RW内ではコークス充填密度が一定では無い事を熱間、冷間試験で明らかにし、羽口先“ガスコア”領域※3として初めて定量化するとともに、ガスコア端から軸心距離に応じて空隙率が直線的に低下する特性を明らかにしました。本成果により簡易な一次元数学モデルで微粉炭燃焼率を精度よく算出可能となり、高炉諸元設計の利便性・信頼性の向上に大きく貢献しました。更に、ガスコアを詳細解析する過程で、CD羽口(Convergent and Divergent Tuyere)の実用化に成功し、世界最高レベルの高微粉炭比操業を実現するに至りました。
※2:高炉レースウェイ(RW)プロセッシング
レースウェイとは、羽口前面に形成される領域で、羽口より吹き込む熱風によってコークスが旋回・高速燃焼し、高炉内で最も高温となる反応領域のことである。この特異な高温場を難使用原料・発生品等の処理サイトとして積極的に活用し、逆に高炉通気改善を図る技術、考え方。
※3:ガスコア領域
レースウェイ内においてガスの慣性力主体で形成される高空隙率(空隙率85%以上)領域。